京の人今日の人 京都市聴覚障害者協会会長・中山昌一さん /京都

手話言語、まず市条例制定を 中山昌一さん(63)

 「条例ができれば手話は言語だと認められる。手話への理解が広がるのではないか」。約350人が所属する京都市聴覚障害者協会会長、中山昌一さん(63)=右京区=は昨年12月、手話通訳者を介して、記者に熱い思いを伝えた。

 同協会によると、2013年現在、市内には「聴覚・平衡機能障害」の障害者手帳を持つ約6500人がいる。手話を第一言語としている人は1〜2級(約2000人)に多い。他の等級や手帳を持たない人にも手話を使う人がいるという。

 京都市では日本で初めての障害者教育施設「京都盲唖(もうあ)院」(1878年)ができたり、全国初という手話サークルが設立されるなどしてきた。聴覚障害者を取り巻く環境は先進的と言える。しかし、「声をかけたのに無視されたとの誤解を受ける」「耳が聞こえないことを知らせても先方から離れていく」「音声情報量と視覚による情報量に大きな差があり、手話による情報は皆無に近い」−−など、聴覚障害者の悩みは尽きない。「外国人への情報保障はあっても手話での案内はない」との不満もある。

 中山さん自身も「約40年間の会社員生活で、朝礼での周りの人のスピーチや社長の訓示が分からなかった」などの経験がある。

 中山さんは「国会で手話言語法を早く制定してもらえるように、全国各地で条例ができている。促す意味で、京都市にも条例ができることは意義深い」と強調する。昨年12月、市議会全6会派の代表からなる条例制定プロジェクトチームの意見聴取会にも協会幹部らと参加し、必要性を訴えた。

 趣味は卓球。「無いと死んでしまう」と断言するほどで、毎週木曜夜の練習は欠かさない。【土本匡孝】