手話:「言語」に  行政・学校、理解進まず  32地方議会が意見書

 手話を習得するための教育環境の整備などを求めて、全国の

地方議会や自治体で動きが広がっている。

全日本ろうあ連盟(東京都)によると、大阪や東京、石川など10

都道府県の32の地方議会が意見書を採択(1月21日現在)、

「手話言語法」の制定を国へ求めている。

鳥取県と北海道石狩市では、手話を「言語」と位置付けた独自の

条例が制定された。

 全国手話研修センター(京都市)によると近年、ろう者の間で

手話の普及は一定程度進んだが、行政や学校現場、一般市民

の間で理解は進んでいない。

「手話は日本語の習得を妨げる」

などの理由で排除され、多くの学校では事実上、手話が禁止

されていたという。

 同センター職員の村松裕子さん(48)=京都市右京区=は

2歳の時、高熱が原因で耳が不自由になった。

小学部から高等部まで12年間通ったろう学校で、読唇と発声

を中心とした口話法を学んだが、手話の使用は禁止されていた。

小学部のころ、手話を使って先輩たちと話していたのを教師に

見つかり、廊下に立たされた。

社会人になってからサークルなどに通い、手話を身につけ

「格段にコミュニケーションが円滑になり、国語力も上がった」

と話す。

 文部科学省特別支援教育課によると、現在は学習指導要領

の中で、手話が音声や文字と並ぶコミュニケーション手段と位置

付けられ、ろう学校での手話の普及も一定程度進んでいる。

しかし、必修とはされていない。

 同センターによると、障害者が就職や教育で受ける差別を

撤廃し、社会参加を促すことを目的とした「障害者権利条約」

が2006年に国連総会で採択(日本は今年1月批准)され、

手話が言語に含まれることが明記された。

日本でも11年に障害者基本法改正で、障害者の意思疎通

手段として「言語(手話を含む)」と明記された。

 同連盟が作成した日本手話言語法案は

▽ろう児が通う特別支援学校で手話を必修教科とする

▽ろう児・者は、手話で教育を受ける機会が保障される

▽国や地方自治体はろう者に手話通訳で情報提供できる

よう対策を取る

−−などとしている。

 同連盟の呼びかけに応じて昨年以降、大阪府大東市や

寝屋川市、札幌市、東京都豊島区、金沢市、高知市など

各地の議会で、法律制定を求めて意見書採択が続いた。

鳥取県の手話言語条例は昨年10月制定、手話通訳者を

確保する努力規定などを盛り込んでいる。

【後藤豪】


毎日新聞より引用(2月3日)
http://mainichi.jp/area/news/20140203ddf041040038000c.html(リンク切れ)