救急隊員に手話広がって 石狩消防署・山崎さん 意見発表全国大会出場へ 4月の全道大会最優秀 全職員対象の講習会実演付き紹介

 【石狩】石狩消防署の救急救命士、山崎光秀消防士長(32)が、第42回全道消防職員意見発表大会で最優秀賞を受賞した。「心と手」と題し、同署の全職員を対象にした手話講習会の取り組みを紹介。内容はすべて手話付きで発表した。6月9日に大阪市で開かれる全国大会に出場する。「救急隊員が手話を学ぶ取り組みが全国に広がってほしい」と話す。

 石狩市は2014年、全国の市町村としては初となる手話条例を施行した。それに伴い、同署は石狩聴力障害者協会などの協力を得て、全職員を対象に救急現場で使える簡単な手話を学ぶ講習会を開催。今春までに全職員約120人が受講した。

 同署によると、消防署で継続的に手話講習会を開いているのは全国でも珍しいという。

 山崎さんは、この講習会の企画、実施を担当。最初は「手話を覚えることが必要なのは分かっているけど、実際に覚えるのは難しそう」と感じたという。しかし、協会の聴覚障害者と接するうちに、「救急隊が『わかりました』や『病院へ行きましょう』といった簡単な手話を使うだけでも、患者はとても安心することがわかった」と話す。

 発表では「ほんの数種類の手話を身に付けることで、1人の市民である聴覚障害者が安心して暮らせる社会に一歩近づくことができる」と訴えた。

 市内で活動する手話サークルに数回通い、原稿を手話通訳してもらった。見本をビデオ撮影し、それを見ながら毎日手話を練習した。昨年10月に市内で開かれた道央地区予選を通過。今年4月に札幌で開かれた全道大会で、13人の出場者の中で、最優秀に選ばれた。石狩消防署職員の全国大会出場は初めて。

 山崎さんは「いつでも実際の救急現場で活用できるように、これからも手話の勉強を続けていきたい」と話している。(成田智加)