手話言語条例 滋賀にも 請願書提出へ 県ろうあ協会、署名活動 /滋賀

 手話を言語と位置付けて理解や普及を進め、聴覚障害者がより快適に生活できる環境を整備することを目的とした「手話言語条例(仮称)」の制定を求め、県ろうあ協会などが署名活動を始めた。県人口の1%に当たる1万4000人分の署名を集め、県に請願書を提出する方針だ。

 2011年、障害者基本法が改正されて手話が「言語」であることが明記された。13年に鳥取県が全国で初めて「手話言語条例」を制定し、全国の都道府県や市町村に同様の条例制定の動きが広がっている。全日本ろうあ連盟によると、今月19日現在、6県と41市町で制定されているという。

 滋賀県障害福祉課によると、県内では例がなく、13年以降、県ろうあ協会や県聴覚障害者福祉協会などから制定の要望を受けているが、障害者差別の解消に関する条例の制定に向けた議論が優先されており、現在のところ着手の予定はないという。

 県ろうあ協会や県手話サークル連絡協議会では14日、聴覚障害者や支援者ら約20人がJR草津、南草津両駅前で初めて活動。手話や筆談で駅の利用客らに「手話の普及のため署名をお願いします」などと呼び掛けた。

 同協会の理事、新井有美子さん(35)=草津市=は「熊本地震のような災害発生時、私たち聴覚障害者は必要な情報を得られず不安になるのが容易に想像できる。非常事態の際にもきちんと意思疎通ができるよう、聞こえる人に手話を覚えていただくきっかけとなるような条例が必要」と話している。【森野俊】