苫小牧市が手話条例制定へ 意義や市の責務、市民の役割示す
苫小牧市は聴覚障害者への理解を深め、手話を使いやすい環境づくりを推進するため、手話条例の制定を目指している。手話の意義や市の責務、市民の役割などを明記した内容を想定。手続きが順調に進めば、2016年度内にも制定したい考えだ。同年度は手話講習を学校や企業などで開催し、手話に関心を持ってもらう機会を増やす。法律で手話が言語と位置付けられ、同条例制定の動きは全国的に広がっている。
手話条例は手話に対する市民の理解を広げるとともに、聴覚障害の特性を尊重し、社会参加しやすい環境の実現を目的としている。
今月の市議会定例会でも取り上げられ、市福祉部の山本俊介部長は「コミュニケーション支援の在り方を制度化する上で、条例は有力な手法」と説明。関係団体と協議し、内容を詰める考えを示している。
条例の詳細や施行時期は未定だが、制定後は手話学習を進めたり、手話研修を希望する企業を支援したりするなどし手話の幅広い浸透を図っていきたい考え。山本部長は「市民の理解と協力がカギ。市民周知を進め、ふくし大作戦中の条例制定を目指したい」と語る。
16年度は、まちぐるみ運動の「ふくし大作戦!!2016」の主要事業の一つに手話体験、講座を位置付け、市内の関係団体と協力し、手話への市民理解醸成に努める。
手話講座はこれまでも小学校の依頼で年10校ほどで行ってきたが今回は市側から企業や中学校、高校に働き掛け、実施回数を増やす。コンビニやスーパー、銀行など日頃、聴覚障害者が利用する場所を中心に実施協力を要請する。
11年の障害者基本法の改正で、言語に「手話を含む」と明記され、当事者団体を中心に手話言語法制定を目指す運動が活発化。それに呼応して手話言語条例を作る自治体も増えている。
全日本ろうあ連盟によると、手話言語条例が成立した自治体数は、4月1日施行予定を含め4県、31市町村(14日現在)に上る。道内でも石狩市、名寄市、登別市(4月1日施行)、十勝管内新得町、鹿追町の5市町ある。
苫小牧聴力障害者協会と苫小牧手話の会、苫小牧手話通訳問題研究会、苫小牧手話サークルひまわりの4団体は「苫小牧手話言語条例推進委員会」を設立。2年前から手話条例制定や手話言語法制定を目指した活動に力を注ぐ。
苫小牧聴力障害者協会の國井敏明副会長(50)は、自身も聴覚障害者で市の条例制定に向けた動きを「ありがたい」と歓迎した上で「手話をコミュニケーション手段の一つではなく言語として使ってもらえるよう、手話言語に限定した条例にしてもらいたい」と注文。「筆談だと文章をうまく読み取れない人も多く、ろうあ者が意思疎通を図るには手話が最も有効」と力説する。
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