手話「県民誰もが」挑戦 鳥取で条例制定1年

 手話を言語と位置付けて普及を促し、使いやすい環境整備を自治体に義務付ける「鳥取県手話言語条例」が施行されてからまもなく1年になる。この間、手話を学ぶ機会が増える半面、手話通訳者の数が足りないといった課題も浮かんだ。県の担当者は「息の長い取り組みが必要。県民誰もが手話であいさつできるような地域にしたい」と話している。

 条例は昨年10月8日に成立、同11日に施行された。県は初心者向けの手話学習会を12月から各地でスタート。企業などが主催する場合は運営補助金で支援する。県教育委員会は「手話ハンドブック」と名付けた学習教材を作成し、小中高や支援学校など約240校の約7万6千人に配布した。

 鳥取県に続いて、北海道石狩市や三重県松阪市、佐賀県嬉野市などが同様の条例を整備した。全日本ろうあ連盟によると、「手話言語法」制定を求める意見書は全地方議会の半数以上で可決された。平井伸治鳥取県知事は全国に先駆けて条例を制定した波及効果に胸を張る一方で「この動きを一過性のものにしてはいけない」と話す。

 実際、鳥取では手話通訳者の絶対数が不足する事態への対処を迫られそうだ。県に登録しているのは約40人。条例制定後、イベントに駆り出されることが多くなり、はしごするケースも珍しくない。県障がい福祉課の秋本大志さんは人気ぶりを歓迎しつつ「数を増やさないと回らない」。通訳者として独り立ちするには数年かかるという。

 秋本さんは「鳥取もまだ道半ばだ。学校での体験や学習会などで裾野を広げていけば、手話通訳者も増えていくはずだ」と期待している。〔共同〕