「手話言語法」制定意見書 全地方議会採択

 全日本ろうあ連盟と日本財団は3日、手話を言語として認め、使いやすい社会の実現を目的とした「手話言語法」の制定を求める意見書について、全国すべての地方議会で採択されたと発表した。全国初の手話言語条例を制定した鳥取県の運動が、全国の動きを加速させた格好。同連盟は国に法制化を求めていく。

 同日、最後となった栃木県芳賀町議会で意見書案が可決され、全国1788の都道府県と市区町村で「採択率100%」を達成した。

 東京都内であった会見で、同連盟の石野富志三郎理事長は「連盟の仲間や支援者が手を携えて努力した結果」と手話で喜びを表現。一方「採択がゴールではない。国はなかなか動かない現実がある。採択の力と民意をもって、さらに国に働き掛ける」と決意を示した。

 また、手話の普及支援に取り組む同財団の尾形武寿理事長も「画期的な出来事。国民の総意であり、国も無視はできない」と真摯(しんし)に向き合うよう求めた。

法制定 大きな追い風 「県の動きが一石」喜ぶ

 全国の地方議会で「手話言語法」の制定を求める意見書の採択率が100%となった3日、鳥取県内関係者は「県から始まった動きが大きな追い風になった」と喜び、法制定に向けた具体的な検討や議論の着手を求めた。

 鳥取県では2013年10月に全国初の「手話言語条例」を制定。国レベルで手話を言語と認めるよう求める声が高まり、14年9月までに県内全ての自治体で意見書案が可決または趣旨採択された。

 県聴覚障害者協会の石橋大吾事務局長は「全自治体がそろって採択したのは、これまでにない快挙」と強調。「国全体で手話を言語として認め、手話で学ぶ権利や手話で情報を得る権利を保障するには法制定が不可欠」と述べ、かつて教育現場から手話が排除された時代を踏まえ「ろうあ者が手話に誇りを持てる日本にするため、一日も早く制定を」と求めた。

 一方、平井伸治知事は「鳥取県から投じた一石が全ての自治体で受け入れられた。『手話は言語』というメッセージに国民がこぞって共鳴した証しであり、国として法制定の検討を進めていただきたい」と話した。