「手話は言語」 嬉野市が条例制定へ

 嬉野市は、手話への理解を深め、手話でスムーズに会話がしやすい環境をつくる「市心の架け橋手話言語条例」を制定する。国連の障害者権利条約や障害者基本法で「手話は言語」と規定されたことを受けた条例化で、市のユニバーサルデザインのまちづくりを進める。6日開会の6月議会に条例案を提案する。可決されれば、九州の自治体で初の「手話言語条例」となる見通し。

 条例案は、あらゆる場面で手話による意思疎通ができるようにするため、手話の普及啓発や手話通訳者の拡充など必要な施策の実施を市の責務と定めた。施行日は7月1日。

 市内で障害者手帳を持つ聴覚障害者は約100人。条例化に伴い、本年度は年間47回の手話講習会を開いて手話奉仕員を育成する。嬉野、塩田両庁舎に置くタブレット端末を使って、画面を通して佐賀市の県聴覚障害者サポートセンターのスタッフが手話通訳し、市民と職員が会話できる仕組みも導入する。

 谷口太一郎市長は「ユニバーサルデザインのまちづくりを個別的に実践する第1弾となる。市民だれもが少しでも手話で会話ができるようにしたい」と語った。サポートセンターの伊東康博センター長は「非常に画期的な条例。嬉野市は旅行客が多く、ハードに加えてソフトのユニバーサルデザイン化を打ち出すきっかけになり、観光PRにもつながるのではないか」と評価した。