手話は言語、一層普及を 法制定へ地方議会の9割意見書
手話を言語として明確に位置付け、普及を促す「手話言語法」の制定を国に求める機運が全国で高まっている。全日本ろうあ連盟(東京都)の調べでは、全自治体の9割に迫る1600超の地方議会で意見書が採択され、独自の手話言語条例制定も相次ぐ。同連盟は「3月末までに採択100%を達成し、手話言語法の実現に弾みをつけたい」とする。(山本哲志)
手話をめぐっては、2006年に国連総会で採択された障害者権利条約で言語に含まれると定義され、日本でも11年に成立した改正障害者基本法で認められた。ただ、法整備や具体的な施策が進んでおらず、全国の聴覚障害者団体が地方議会に働き掛けてきた。
13年に鳥取県で、手話を使いやすい環境整備を県や市町村に義務づける全国初の手話言語条例が成立。兵庫県内では加東、篠山市が同様の条例を制定し、神戸や三木市なども今春の施行を目指す。意見書採択も一気に広まり、県内では昨年12月までに県会と全市町議会で採択した。
一方、国の反応は鈍い。内閣府の担当者は「13年に策定された第3次障害者基本計画に障害者への情報提供や意思疎通の充実が盛り込まれている。優先して取り組みを進めたい」としている。
同連盟がまとめた手話言語法案では、聴覚障害者を対象とした特別支援学校での手話の必須教科化▽生活のあらゆる場面で手話を使用できる環境の整備▽手話の普及促進のための審議会や研究所の設置-などを定める。
兵庫県立聴覚障害者情報センター(神戸市灘区)の嘉田眞典所長は、地方自治体や議会の動きを「とても心強い」と歓迎。「テレビの緊急放送に字幕や手話が付かないことや手話通訳者の不足など、直面する課題は多い。一日も早い法制定を」と訴える。
【手話】 主に聴覚障害者が手指の動きや表情を使って行うコミュニケーション手段の一つ。国内の聴覚障害者数は約25万人以上とされ、全日本ろうあ連盟によると、手話使用者は5万~10万人。国内の特別支援学校では口の動きを読む「口話」が推奨され、手話が禁じられた時期もあった。近年は多くの学校で手話が導入されている。
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