「手話言語条例」制定へ 群馬県議会開会

 県議会定例会が16日開会し、自民党県議ら24人は、耳の不自由な人が暮らしやすい地域社会の実現を目指す「県手話言語条例案」を提出した。県に手話普及のための取り組みを促し、聴覚障害児が通う学校に手話教育の充実などを求める内容。可決されれば、都道府県では鳥取、神奈川に次いで3県目となる。4月1日施行。(浜田慎太郎)

                   

 条例案では、制定の目的として、「ろう者とろう者以外の者が共生し、等しく全ての障害者福祉の向上に寄与することのできる地域社会を実現すること」と明記。手話を学習する取り組みを推進する▽手話を用いた情報発信に努める▽手話通訳者や指導者の養成・研修に努める-など、県が手話の普及のために取り組むべき内容を示している。

 また、聴覚障害のある子供たちのための「教育環境の整備」も掲げており、関係学校における教職員の手話技術の向上などを促している。全日本ろうあ連盟(本部・東京都新宿区)によると、鳥取や神奈川の条例と比べて、より“手話教育”に重きを置いた内容になっているという。

 本県と手話の関わりは深く、戦後間もない昭和22年5月に、全国の約200人の聴覚障害者が伊香保温泉に集まり、手話の普及などを目的とした全日本聾唖(ろうあ)連盟(現・全日本ろうあ連盟)を発足させた。同連盟の担当者は「群馬にこうした条例ができることが非常にうれしい」と話した。

 条例案提出にあたり、中沢丈一議員(自民)が提案説明に臨み、「すでに世界的には、“手話は言語”との認識は当たり前のものになっている。一生懸命応援したい」などと述べた。

 この日の県議会では同条例案のほか、平成27年度一般会計予算案や、知事や副知事に退職手当を支給しないための条例改正案など計111議案が提出された。