「手話法制定を」全国で 全ての都道府県議会、意見書可決

 手話を言語として認め、使用しやすい環境整備を目指す「日本手話言語法」の制定を求める意見書が全ての都道府県議会で可決されたことが3日までに、全日本ろうあ連盟(東京)への取材で分かった。連盟は「全国からの民意を法制定の追い風にしたい」と意気込んでいるが、国レベルでの動きは鈍い。

 連盟がつくった法案は国や地方自治体に手話の言語活動や文化振興に関する施策を実施する責務を負わせ、手話に関するあらゆる施策の推進を図ることが主な内容。制定により、特別支援学校などで手話を学習するチャンスや、テレビ番組で手話通訳がつく機会の拡充が期待される。

 連盟は各地の聴覚障害者団体を通じて働き掛けを強めており、意見書の可決や請願・陳情の趣旨採択をした地方議会は全体で1700を超えた。秋田や福井、兵庫、大分などでは県内の全ての地方議会で可決されたという。

 首都大学東京の長野基准教授(地方自治)は「意見書は民意の表れ」と指摘したうえで「当事者からの意見聴取などを経て至る可決の過程は、意見書の内容に関する地元自治体の施策を見直したり、住民に知らせたりする契機にもなり得る」と評価する。

 ただ、地方議会での動きと異なり、政府や国会での法制定に向けた積極的な動きはない。内閣府の担当者は「障害者基本計画などで手話普及を進めている」との立場だ。

 連盟は「手話を言語として法的に認めることはろうあ者のアイデンティティーの確立になる。各地からの意見書の重みを感じてほしい」と法制定に向け働き掛けを続ける考えだ。〔共同〕