京都市「手話条例」制定へ 観光客への対応も
京都市議会の全6会派は1日、手話を言語として普及させ、使いやすい環境をつくる「手話言語条例」(仮称)を制定することで一致した。来年の2月市会で議員提案し、成立させる。観光都市として、手話を使う観光客への対応も条文に盛り込む。同様の条例が広がる中、日本の手話発祥の地とされる京都でも条例ができる見通しとなった。
条例の素案によると、基本理念で「手話は言語」「手話を必要とする人が手話によりコミュニケーションを図る権利を有することを前提」と規定する。市は手話に関する施策を推進するための方針を定め、手話通訳者の確保・育成などを図る。市長と聴覚障害者・手話通訳者らの協議の場設置や、学校教育で手話に接する機会を提供することも明記した。
年間5千万人以上が訪れる観光客に関する条文も設けた。市と市民、事業者の努力義務として、「おもてなし」の心を持ち、手話を必要とする観光客が安心して滞在できるよう施策実施や応対、サービス提供することを掲げた。
6会派は関係団体や市から意見聴取も行い、来年1月末に最終案を取りまとめ、2月市会で成立の見通し。市会事務局によると、手話言語条例は鳥取県が2013年10月に全国で初めて制定。京都府城陽市や神戸市など全国22自治体に広がっている。
京都市では1878(明治11)年、耳や目の不自由な子どもたちが通う「京都盲唖(もうあ)院」が国内で初めて現在の中京区に開設、日本の手話が誕生したとされる。
10月に市議会各会派に条例制定を要望した市聴覚障害者協会の中山昌一会長は「手話を第一言語とするわたしたちが、聞こえる人とより対等に暮らすためにも条例制定が必要と思っていた。今後も当事者の立場で積極的に関わり、共生社会をともに作り上げていきたい」とコメントした。
0コメント