手話言語条例、静岡県内初制定へ 富士宮市

 富士宮市が静岡県内初の制定を目指す手話言語条例の議案について、市議会環境厚生委員会は3日、全会一致で可決した。14日の11月定例会最終本会議で可決、成立し、来年4月1日に施行される見通し。

 「手話は言語」との理解促進と普及を図ることが目的。条例案には、手話は聴覚障害のある「ろう者」が心豊かな社会生活を営むために受け継がれ、人格・個性の尊重と共生社会の実現に必要な言語-とする基本理念を掲げた。

 手話の理解促進と普及に向けた施策推進を「市の責務」と明文化した。「市民や事業者の役割」としては、市の関連施策への協力に加え、ろう者が利用しやすいサービス提供や働きやすい環境の整備を求める。条例の施行後、市は手話通訳者養成講座や手話劇上映会など具体的な施策を講じる方針。

 市介護障害支援課によると、市内のろう者は440人で、手話通訳者は5人。公共施設や職場、商業施設などで十分に意思疎通できないと悩みを抱えるろう者も多いという。手話通訳者の人員拡充も課題になっていた。

 市保健福祉部の杉山洋之部長は委員会で「住み慣れた地域で安全安心に暮らせる環境づくりを目指す」と説明した。

 <メモ> 手話言語条例は2013年10月、鳥取県が全国で初めて制定した。全日本ろうあ連盟の統計では10月19日現在で、鳥取、群馬、神奈川の3県と全国19市町が制定済み。本県では、浜松市が富士宮市と同じ来年4月の施行を目標に手続きを進めている。